さて、一昔前の吹奏楽編曲作品というと、それがモーツァルトだろうがベートーヴェンだろうがワーグナーだろうが、必ずと言っていいほど大太鼓・小太鼓・シンバルといった打楽器『3点セット』が加わっていて、♪ドンチャカドンチャカ、景気良くリズムを刻んでいたものです。吹奏楽という演奏形態の歴史的背景によるものでしょうが、現在では「原曲の雰囲気に近付ける」ということで、そういう編曲をする人はまずいないでしょうし、そういう楽譜があっても適当に手を入れて演奏されるでしょう。 しかし、このバッハ編曲作品を集めたアルバムに収録されている、エルガー(「威風堂々」の、あのエルガーです)の編曲を聴いてみると...原曲はオルガンのための作品なのですが、後半のフーガになるといきなり『3点セット』が加わってきて、最初はアクセントを付ける程度だったのが、後半になるとリズムまで刻み始め、ハープのグリッサンドやグロッケン(鉄琴)、よく聴くとタンバリンまで入っている。バッハでタンバリン!そして、ここで聴かれるサウンドは紛れもなくエルガーのものなのです。 もう一つ、ウェーベルンの編曲について。原曲は「音楽の捧げ物」という曲集に収録されている6声の音楽で楽器の指定はありません。通常は鍵盤楽器によって演奏される事が多いようですが、一つの声部を1本の糸とすると、この場合(鍵盤楽器による演奏)ではすべての糸が同じ色をしているといえます。これを合奏に編曲する場合、フツーに考えると演奏する楽器を変えることにより、6本の糸を1本づつ別の色に(つまり6色に)染めようと考えるわけですが、ベルクはさらに1本1本の糸を途中から細かく色を変えて染めていく。すると、そこには無限極彩色の色模様が現れることになるのです。 吹奏楽に「編曲」すること「編曲作品」を演奏すること...しっかりとしたスコアと、それを読みとるしっかりとした目、それらがない限りいつまでたっても「真似」から抜け出せないと思うのです。
00/09/02 |
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