◇序奏とロンド・カプリチオーソ(サン=サーンス)
◇アンダンテ・カンタービレ(チャイコフスキー)(*)
◇ロココの主題による変奏曲(チャイコフスキー)(*)
◇カンツォーネ(ブルッフ)(*)
◇タイスの瞑想曲(マスネ)(*)
◇ラプソディ・イン・ブルー(ガーシュウィン)
トランペット/フリューゲル・ホルン(*):S.ナカリャコフ
指揮 : V.アシュケナージ
演奏 : フィルハーモニア管弦楽団
録音 : 1999年
(TELDEC/8573-80651-2)
人気のトランペット奏者、ナカリャコフの最新録音。ヴァイオリン、チェロ、ピアノと管弦楽のために書かれた作品をトランペットとフリューゲル・ホルンで演奏しています。個人的にアイドル系トランペット奏者という印象があったのですが、なかなかどうして、ものすごいテクニックの持ち主であることは間違いありません。
彼の演奏、品が良いというか、知性的というか、羽目をはずすところがなく、また、どのように難度の高い場面でもテクニックをひけらかさずに、あくまでさり気なく演奏しています。しかし、彼に「ロシアのトランペット吹き」としての音を期待すると、やや裏切られることになるかもしれません。
その彼のキャラクターからしてフリューゲル・ホルンによって演奏している曲が素晴らしく、控えめながらしっとりと歌っており、「ロココ...」ではテクニックの冴えも十分に聴かせてくれます。特に低音域の表現が素晴らしく、ほぼチェロの最低音に近いところまで音を出しています。
編曲はガーシュウィンのみドクシツェル、その他はナカリャコフ自身が担当しています。ドクシツェルの編曲は、原曲とは全く別の曲に『編曲』してしまっていますが(これはこれで面白い)、ナカリャコフは原曲のオケパートをほぼそのままにして、ソロの補強のために若干の手を加えている程度。伴奏には、アシュケナージという大物(?)を起用していますが、この類の曲であれば、ごく普通にオケを鳴らし切る指揮者で十分だったようにも思います。
《補》
ここで、改めてドクシツェルの録音を聴き直してみると、その『音』と『音楽』の格の違いをはっきり感じてしまいます。音の豊かさ、旋律を歌い切る音楽の大きさ、どれを取っても一枚上。(もちろん、ナカリャコフはこれからの音楽家でもあるわけですから、あくまで現時点での比較ということになりますが)最近、国内盤で彼の録音がリリースされ、CDショップでも見かけることが多くなりました。興味のある方は是非お聴き下さい!