−バッハ・トランスクリプション−

◇トッカータとフーガ ニ短調 BWV565(ストコフスキー編)
◆幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537(エルガー編)
◆6声のリチュルカーレ〜「音楽の捧げ物」 BWV1079(ウェーベルン編)
◇プレリュードとフーガ「聖アン」 変ホ長調 BWV552(シェーンベルグ編)
◇小フーガ ト短調 BWV578(ストコフスキー編)
◇組曲〜管弦楽組曲第2番、第3番より(マーラー編)

指揮 : エサ=ペッカ・サロネン
演奏 : ロス・アンジェルス・フィルハーモニック
録音 : 1999年
 (SONY/9699-89012-2)

 今年、西暦2000年はJ.S.バッハ没後250年に当たりますが、ここで紹介するアルバムは、現在間違いなくトップ集団の中にいる指揮者サロネンによる、バッハ編曲作品集です。

 さて、一昔前の吹奏楽編曲作品というと、それがモーツァルトだろうがベートーヴェンだろうがワーグナーだろうが、必ずと言っていいほど大太鼓・小太鼓・シンバルといった打楽器『3点セット』が加わっていて、♪ドンチャカドンチャカ、景気良くリズムを刻んでいたものです。吹奏楽という演奏形態の歴史的背景によるものでしょうが、現在では「原曲の雰囲気に近付ける」ということで、そういう編曲をする人はまずいないでしょうし、そういう楽譜があっても適当に手を入れて演奏されるでしょう。

 しかし、このバッハ編曲作品を集めたアルバムに収録されている、エルガー(「威風堂々」の、あのエルガーです)の編曲を聴いてみると...原曲はオルガンのための作品なのですが、後半のフーガになるといきなり『3点セット』が加わってきて、最初はアクセントを付ける程度だったのが、後半になるとリズムまで刻み始め、ハープのグリッサンドやグロッケン(鉄琴)、よく聴くとタンバリンまで入っている。バッハでタンバリン!そして、ここで聴かれるサウンドは紛れもなくエルガーのものなのです。

 もう一つ、ウェーベルンの編曲について。原曲は「音楽の捧げ物」という曲集に収録されている6声の音楽で楽器の指定はありません。通常は鍵盤楽器によって演奏される事が多いようですが、一つの声部を1本の糸とすると、この場合(鍵盤楽器による演奏)ではすべての糸が同じ色をしているといえます。これを合奏に編曲する場合、フツーに考えると演奏する楽器を変えることにより、6本の糸を1本づつ別の色に(つまり6色に)染めようと考えるわけですが、ベルクはさらに1本1本の糸を途中から細かく色を変えて染めていく。すると、そこには無限極彩色の色模様が現れることになるのです。

 吹奏楽に「編曲」すること「編曲作品」を演奏すること...しっかりとしたスコアと、それを読みとるしっかりとした目、それらがない限りいつまでたっても「真似」から抜け出せないと思うのです。

00/09/02

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