−ハンプシャー組曲−

 ホルスト作曲
 ◇交響曲へ調 op.8
 ◇ウォルト・ホワイトマン序曲 op.7
 ◆ハンプシャー組曲 op.28 No.2
 ◇バレエ音楽「どこまでも馬鹿な男」
 ◇管弦楽のためのスケルツォ

指揮 : D.ボストック
演奏 : ミュンヘン交響楽団
録音 : 1999年
 (CLASSICO/CLASSCD 284)

 オーケストラ、あるいは、他の演奏形態のために作曲された曲を吹奏楽用に書き直した、いわゆる「アレンジもの」は吹奏楽のレパートリーの中でも大きな割合を占めています。その逆のパターン、つまり、元々は吹奏楽のために書かれた曲がオーケストラ用に編曲されるという例も、いくつか存在しています。

 ここで紹介するのはホルスト作曲の「吹奏楽のための第2組曲」、いわゆる「2組(にくみ)」をオーケストラ用に編曲した「ハンプシャー組曲」で、この作曲者の珍しい作品ばかりを集めたアルバムに収録されています。編曲者はホルスト自身ではなくジェイコブ(吹奏楽曲も書いているイギリスの作曲家)、ちなみに彼は、同じく「第1組曲」とか、ヴォーン=ウィリアムズの「イギリス民謡組曲」なども編曲していて、後者は録音もいくつか存在します。

 第1楽章「行進曲」。出だしは、遅目のテンポ設定もあってか、やや重い印象を受けます。ユーホニウムによって奏される例の第2主題はヴィオラを中心に演奏され、これはこれで味わいがあると思いますが、原曲に傾倒している向きにはやはり不満かも。その後、そのテーマが全合奏で繰り返されるのですが、ここでは弦楽器が加わった壮麗な輝かしい響きが聴かれ、例えばエルガーやウォルトンの行進曲に通じるものも感じさせます。

 第2楽章「無言歌」。予想通りと言うべきか、後半部ヴァイオリンによって歌われる主旋律に管や他の弦のピチカートの上下する音形が絡んでゆく、この部分は弦楽器が加わった効果が大きく現れています。

 しかし、後半2楽章は吹奏楽版を聴き慣れた耳には新鮮味は薄いのではないでしょうか。これは全曲に渡ってそうなのですが、ジェイコブの編曲は原曲のイメージを基本的に踏襲していて、大きく逸脱していません。一般的なオーケストラの聴衆には吹奏楽版を聴いている人は少ないと思われるので、これはこれで妥当な方向性でしょうし、編曲版をいきなり聴いた人にとってもそれなりに楽しめるオーケストラ曲に仕上がっていますし、アルバムそのものも“「惑星」の作曲家”ホルストの珍しい作品を集めたものとして一聴の価値はあると思います。

《補》
 「惑星」以外のホルストのディスクでは、「サマセット・ラプソディ」「フーガ風序曲」(いずれも吹奏楽編曲版あり)を含むCHANDOSのアルバム(CHAN 9429)がお薦めです。決して「惑星」だけではない、ホルストの音楽の魅力を味わうことができます。演奏はR.ヒコックス指揮のロンドン交響楽団。

00/07/03

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